業務効率化ツールの導入が製造業で必要な理由は？ツール選定のポイント

業務の効率化における効果

仕事を進める上でのプロセスから、ムリ・ムダ・ムラを見つけ出して取り除き、非効率な業務を改善することを業務効率化といいます。例えば、ITツールの導入やRPAによる自動化、社外へのアウトソーシングなども業務効率化の一つです。業務効率化における3つの効果を見ていきましょう。

1．時間的なコストの削減

製造業におけるムリやムダ、ムラを省くことで作業にかかる時間の削減につながり、残業時間などの人件費を削減できます。残業時間の軽減は従業員にとっても働きやすい環境になり、身体的な負担が軽減するといったメリットがあります。

2．従業員のモチベーション向上

労働時間の短縮と働きやすい環境を実現することで、従業員のモチベーション向上が期待できます。労働環境の改善を目的とした働き方改革を実現するには、業務効率化が不可欠といえるでしょう。

3．新しいビジネス展開

業務効率化によって生み出した時間で、新たな取り組みを行えます。これまでは人件費などの都合で取り組めていなかった業務に着手できれば、さらなる組織強化や生産性の向上が期待できます。

アクシーズ株式会社では業務改善支援を行っております。クラウド型の業務効率化ツールの導入をご検討の場合には、ぜひお問い合わせください。

RPAによる業務改善

近年、多くの企業で業務効率化のためにRPAが導入され始めていますが、製造業も例外ではありません。RPAには様々なタイプがあるので、導入のメリットを理解した上で製造業の業務内容に合うものを選ぶことが大切です。

RPA（Robotic Process Automation）とは企業の定型業務を自動化し、業務効率を向上させる取り組みです。業界や業種を問わず日本でも様々な企業に導入され始めていますが、製造業でも以下の業務でRPAによる自動化を進める企業が増えてきました。

1．在庫管理

業務効率化ツールを導入することで、納品書のダウンロードと内容のチェック、そして管理システムへの登録といった一連の作業を自動化できます。スピーディーな在庫管理が可能になるので、人為的な間違いも削減できるでしょう。

2．受発注・出荷

人間の目で確認して管理システムに情報を入力していた企業も、RPAの導入によって受発注業務の自動化が可能になってきています。最近では紙ベースの注文書や納品書はOCRで読み込んでテキスト化し、RPAを使って管理システムに入力する自動化が可能になり始めています。

3．情報収集の自動化

最近ではウェブスクレイピングと呼ばれるソフトウェアが登場し、インターネットから特定の情報を収集・抽出することが可能になりました。これをRPAと組み合わせることで、必要な情報を自動的に集められます。ログインが必要なサイトでも、場所と文字をあらかじめ指定しておけば、そのサイトの情報も自動で収集できます。

様々な技術と組み合わせながら活用することで、これまで人間の手でしかできなかった作業の自動化が次々に実現し始めています。

業務における課題

製造業の生産における課題を見ていきましょう。

1．人材不足

製造業の仕事が増加してきたとしても、実際に現場で働く人材が不足していては生産が追いつきません。生産が追いつかなければ、本来なら手に入るはずの売上を逃していることになります。また、人材不足が直接の原因かどうかは判明していませんが、大手製造業で発覚した「検査不正」によって「現場力の低下」が浮き彫りになっています。

2．標準化が難しい

製造業での生産は、すべての社員がまったく同じ物を製造しているとは限りません。製造ラインや部門ごとに仕事の内容が違うため、掛かる負荷も当然異なります。これは誰もが頭では理解しているはずですが、自然と従業員の間では不公平感が出てきます。

放っておくとフラストレーションを溜めた職場となり、お互いを助け合うような職場環境は期待できません。製造業は他の業種とは違い、個々の仕事を「見える化」することが難しく、業務の効率化の面では大きな課題となります。

3．手配間違いが発生する

生産現場では、すべての手配を何人か、またはいくつかの部署を通して手配を行うため、途中で漏れや間違いが起こりやすくなります。手配漏れや手配間違いを防ぐために、手配における承認フローを取り決めたとしても、手配間違いは少なくなるかもしれませんが、今度は承認業務が発生してしまいます。

4．部品調達が合わない

間違った数字のまま生産を行うと、生産が追いつかなくなり、販売の機会損失を招いてしまいます。これは経営に大きな衝撃を与えます。反対に在庫を抱えてしまった場合は製品を無駄にしてしまっているので、こちらも経営に影響を与えます。製造業の生産には、一連の計画を正しく伝える仕組みや環境を整備しなければなりません。

5．他部署とのコミュニケーションが難しい

製造業の生産は複数の部署が関わることで成り立っています。これらの部署間は同じ会社であるにもかかわらず、対立してしまうことがあります。お互いがスムーズにコミュニケーションできない状態が続くと、生産部分を担う部署が板挟みになりがちです。このような状況は、製造業の生産において大きな損失だといえます。

選定のポイント

業務効率化ツールの選定のポイントをご紹介します。

1．組織の課題の把握

自社に合う業務効率化ツールを選定するためには、現状の把握が不可欠です。導入事例を鵜呑みにせず、導入したツールによって自社はどう変化するのかをイメージしておくことが大切です。導入目的が明確になれば、業務効率化ツールに必要な機能やツール選びもスムーズに進みます。現状の把握は、業務効率化ツール選定において、最も大切な業務であるといえるでしょう。

2．使いこなしやすいものか

業務効率化ツール導入の一番の目的は、無駄な業務を自動化し、非効率な業務を改善することです。使い方が難しいツールを導入してしまうと、マニュアルや研修が必要で、問い合わせも増えることで逆にコストが増えてしまうこともあります。機能の多さよりも、使用部署のITレベルや利用シーンに合わせたツールを選ぶことがおすすめです。

3．スモールスタートで始められるか

実際にツールを選定した後は、スモールスタートがおすすめです。まずはチーム単位など小さく試して、課題やリスクがないか確認してください。どんなに事前調査を行っていても、実際に使ってみると想定と異なっていたり、サポート体制が不十分だったりと問題が浮き出てくることがあります。専門部署と共に長い目で自社にとってふさわしいツールを選んでください。